発生主義の原則と実現主義の原則

貸借対照表に原則があるのと同様に、損益計算書にも次のような原則があります。

  1. 発生主義の原則
  2. 実現主義の原則
  3. 費用収益対応の原則

発生主義の原則

発生主義の原則とは全ての費用及び収益はその支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に処理しなければならないとする考え方です。発生とは経済価値の費消事実の発生(又は費消原因事実の発生)をいいます。

なお、発生主義の原則は主に費用の計上で採用されています。

実現主義の原則

実現主義の原則とは収益が実現したときに認識するという考え方です。この実現とは、財貨又は用役の移転及びこれに対する現金又は現金等価物の取得をいいます。

収益を実現主義で認識する理由

収益を実現主義で認識する理由は、制度会計上、利益については処分可能性を考慮しなければならず、販売によって収益とそこからもたらされる利益に貨幣性資産の裏付けが得られること、また、販売の事実は後日取り消されることがない確定性を有していることなどから収益については実現主義を採用しています。

簡単に説明すると、利益はできるだけ確実なものでなければならず、確実性が高いと考えられるのが販売の事実の有無であり、販売されることで現金が手元に入ってくるため、その時点で売上(収益)を認識するのです。

費用は発生主義、収益は実現主義の理由

上記のように、費用は発生主義で認識する一方、収益については実現主義で認識します。なぜこのように費用と収益で認識基準が異なるのかと言うと、会計には保守主義の原則と言う考え方があるからです。

保守主義の原則とは、収益はできるだけ確実なものだけを計上し、費用損失は細大漏らさず計上することで利益をできるだけ少なくし、資金の社外流出を防ごうとする考え方です。

そのため収益はできるだけ確実である実現主義を採用し、費用は細大漏らさず計上するため発生主義を採用しています。

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